研究概要 |
1.単層2方向格子に適用するために,剛接合を目的とした新しい接合部(剛接ジョイント)接合部の回転剛性と耐力を実験的に論じ,荷重変形関係がほぼTri-Linear型を呈すること,引張り軸力が作用する場合に比べて,圧縮軸力が作用すれば,接合部の離間時ならびに降伏時のモーメントが増加することを示した。更に、離散的取扱法による数理解析から,剛接ジョイントを用いたラチスドームの座屈荷重は,格子部材が剛接合の7〜8割となることを明らかにした。 2.テンション材としてPC鋼棒を組み込んだ平面正方形の単層2方向格子ドームを対象とし、PC鋼棒の初期導入軸が座屈性状におよぼす効果を実験的に論じ、PC鋼棒の初期導入軸力が大きいものほど,剛性低下の生じる荷重が大きくなること、非対称載荷時の座屈荷重が大きくなることを示した。さらに,実験結果と数値解析結果との比較から,本研究で用いた離散的取扱法は、載荷点の初期剛性や座屈点までの釣合経路、座屈荷重ならびに座屈モードの算定に有効であることを示した。 3.PC鋼棒を組み込んだ平面正方形の単層2方向格子HPシェルを対象とし,基本的な力学性状ならびにPC鋼棒の初期軸力がHPシェルの荷重変形性状に及ぼす効果を実験的に論じた。今後の課題としてHPラチスシェルの力学的性状の把握,座屈耐力とPC鋼棒の初期軸力量との関係や解析との比較が挙げられる。 4.PC鋼棒が単層2方向格子ラチスシェルへの座屈荷重におよぼす効果を、離散的取扱法による数値解析によって検討し、対角部材にテンション材を配置すれば、配置しない場合に比べて、座屈荷重が1.5〜3倍程度に増加することを示し,テンション材が機能するために必要な初期導入軸力が存在すること,テンション材の導入軸力量の調整により,テンション材の配置による効果よりも更に大きな座屈荷重の増加が認められることを明かにした。
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