研究概要 |
本研究は、住民主体のまちづくりが展開されている阪神地域の被災地区を調査対象として、住民組織(まちづくり協議会、建築協定運営委員会)による震災復興のための活動実態を把握した上で、地域コミュニティや住民組織が果たした役割を明らかにしたものである。そして、地域コミュニティを活用した災害時にも安全な防災住区への計画誘導手法を検討するための手法を検討した。その主たる研究成果は次のとおりである。 1, 被災地の神戸市と京都市、及び東京都と静岡県の防災対策の現状について資料収集して明らかにした結果、地域コミュニティを活用した自主防災対策が重要視されていることが分かったが、地域特性を反映した防災対策が十分に確立されていない問題点が明らかになった。 2, 被災地区のまちづくり協議会を対象として2度のアンケート調査を行い、復興まちづくりの進行状況と問題点等を明らかにした。そして、復興まちづくりやルールづくり等の取り組みに対する地域差が明らかになり、地域住民と行政、専門家とのパートナーシップが重要な役割を果たしていることが分かった。 3, 震災からの住宅復興に重要な役割を占める住宅共同再建の実態を把握し、適用事業手法の運用状況とともに住宅計画や敷地計画の特徴を明らかにした。また、地区計画制度やまちづくり協議会との関わりについても分析し、住環境形成上の役割について明らかにした。 4, 被災地の46地区の建築協定地区を対象として、被災時における協定の役割についての住民意識を調査・分析した結果、被災のあった地区ほど協定の有用性が評価されていることが分かった。そして、大震災の教訓を反映した防災住区づくりのための住環境誘導手法としての建築協定の運用指針を明らかにした。
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