研究課題/領域番号 |
09650695
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
建築史・意匠
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
日高 健一郎 筑波大学, 芸術学系, 助教授 (30144215)
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研究分担者 |
佐藤 達生 大同工業大学, 工学部, 教授 (40131148)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1997年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | ドーム / ハギア・ソフィア大聖堂 / 組積造 / 写真測量 / ハギラ・ソフィア / 施工線 / 変形 / 数値解析 |
研究概要 |
本研究は97、98年度の2年間にわたって、ハギア・ソフィア大聖堂の現地調査(科研費国際学術研究として実施)と並行して行われた。中央ドームの形状の分析と6世紀のコーニス上面に刻された施工線の解析が初年度の主たる目標であり、第2年度はその継続および南北のテュンパヌムの実測データ処理を進めた。テュンパヌムのデータ処理では南北両方の内面の奥行き方向等高線図を得たが、その形状の分析にまでは達しなかった。これまでに得た研究成果は以下の通りである。 1) ドーム・コーニス施工線の変形は、(1)ピアの外傾による外側へのほぼ平行な移動と、(2)円弧がらのずれを生じる湾曲とに分けて考えることができ、従来の実測値が前者のみを計測していたのに対し、われわれの実測では後者をも測定することができた。6世紀のドーム再建では、すでにドーム・コーニスの変形が生じていたため、ドーム底面は長円で施工されたが、その長円は径を異にする2種の円弧の組み合わせで描かれ、施工線が現存する南北辺では、円弧が中心を離して設定された(今回の実測値の分析ではこの中心間距離も2.522〜2.562mと算定)。その後、ドームの施工の進行および竣工後の地震等による外力で本来円孤であった施工線は楕円に近い湾曲線に変形したと考えられるので、上記(2)の湾曲値の算出は6世紀のドーム再建以降の構造の変形を把握するうえで重要である。しがし、この値は、ドームを直接支持するピアと大アーチの外傾と関連づけられなければならず、今回の算出値をもって直ちにドーム基部の変位量とすることはできない。99年の現地調査では、これら課題となっているデータを実測によって得る予定である。 2) リプの断面形状の分析では、写真測量によるドーム内殻の実測値をデジタル化し、基準半円と比較した。6、10、14世紀の部分は断面形状においても以下のような明瞭な違いを見せていることが判明した。(1)6世紀部分では、特に南側部分で顕著であるが、地上高53〜55mの位置で下方への変位が大きく、後補部分ではこの下方変位を修正しようとする努力の後が確認できる。(2)10、14世紀の部分は地上高45m付近で、おそらく崩落と関る不規則な湾曲を示す.従来、目視による視覚的記述で済まされていたドーム再建部分の年代差が、報告書に示すようにデジタルデータによる図表として、明示された意義は大きい。
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