研究概要 |
固相置換反応法で炭化物-ホウ化物複合体を合成し,さらに緻密化するための基本条件を明らかにするために,まずB_4C-Ti間の固相反応機構を1000〜1300℃の温度範囲で調べた.反応が開始すると,まずTiCとTiBが生成し,ついで,TiBの減少とともにTiB_2が生成した.この時生成するTiCは不定比であり,反応初期にはTiC_xのxはTiと平衡する組成であった.このTiBとTiC_x,がさらにB_4Cと反応し,TiB_2を生成しながらTiC_xのC量が増加した.これらの結果は,反応が,第1段:B_4C+(4+1/x)Ti→4TiB+1/xTiCx,第2段:yB_4C+4TiB+1/xTiC_x→(2+2y)TiB_2+(2-2y+1/X)TiC_<(y+1)/(2-2y+1/x)>の順に進行すると考えるとうまく説明することができた. つぎに,緻密な複合体を得るために,B_4C-Ti間の固相反応を起こさせながら放電プラズマ焼結することを試み,緻密化の最適反応温度および反応時間を検討し,得られた焼結体の組織と機械的性質を調べた.B_4CとTiの混合粉末を放電プラズマ焼結すると,反応の初期ではTiB,TiB_2,Ti_3B_4,TiCが生成し,反応が進行していくとTiB_2とTiCのみのものが得られ,完全に反応した.相対密度99%以上の緻密なTiB_2-TiC複合体は,1800℃以上で放電プラズマ焼結することにより得られた.複合体の組織は,1800℃ではTiB_2相がTiC相の周囲を取り巻くように生成した2層構造であったが,2000℃では,TiB_2とTiCが均一に分散していた.相対密度99%以上の緻密な焼結体の機械的性質は,ヤング率が514GPaと非常に高く,ポアソン比0.178,ビッカース硬さ2090,破壊靭性値3.8MPam^<0.5>であった.
|