研究概要 |
き裂進展過程を光学顕微で動的に観察するとともにき裂周辺に形成されるプロセスゾーン(PZ)及びプロセスゾーンウェイク(PZW)の微構造を走査型電子顕微鏡(SEM)と透過型電子顕微鏡(TEM)によって追究し,組織学的に解析・検討した.得られた結果は次のとおりである. (1)光学顕微鏡でき裂先端の様相をその場観察しながら,CCDカメラを通して映像をモニター用ディスプレイに映し出すとともにビデオに収録し,デジタルイメージファイルを用いてフロッピィ・ディスクにも記録できるようになりました.その結果,き裂尖端挙動の動的観察だけでなく,画像解析により局所的き裂進展遠度をも求めることが可能となりました. (2)Si/SiC試験片のslow crack growth現象をその場観察し,主き裂の進展挙動を動的に追跡しました.主き裂はき裂先端周辺に生成するマイクロクラックとブリッジングを形成しつつ,マイクロクラックがある大きさに成長すると連結・合体して材料破壊に至ることが明らかになりました. (3)常圧Si_3N_4焼結体についても上述の項(2)の実験を室温で実施し,組織学的に微構造解析を行いました.Si_3N_4柱状粒がき裂進展面と垂直に近く配向する場合には,その柱状粒はき裂進展を一時的に停留させる役目を果たすことが認められました.一時停留したき裂は,柱状粒に引き抜き現象を誘起しながらブリッジングを形成しながら進展することが分かりました.この場合,き裂を挟んで上下に対面する破面には引き抜かれた柱状粒の痕跡が多数観察されました.
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