研究概要 |
1.ペロブスカイトのAサイトアルカリ土類の置換がマイクロ波誘電特性に及ぼす影響 研究した主な組成系は次である:(A_<1-x>A′_x)Zr0_3、(A_<1-x>A′_x)(Mg_<1/3>Ta_<2/3>)O_3、(A_<1-x>A′_x)(Zn_<1/3>Ta_<2/3>)O_3(A,A′=Ba,Sr,Ca)、さらに(Ba_<1-x>A′_x)(B_<1/2>B′_<1/2>)O_3(A′=Ca,Sr B=Y,Nd: B′=Nb,Ta)。標記につき大略次の結果を得た。即ち、(Ba_<1-x>Ca_x)、(Ba_<1-x>Sr_x)、(Sr_<1-x>Ca_x)の3置換系においてBサイトを問わず、両イオンのイオン半径差の順番に系統的差異がある。誘電率が(Ba_<1-x>Ca_x)系で顕著に増大し、Ca置換固溶限界の組成で極大となり、対応して誘電損失も増大する現象は全系に見られた。 2.静電容量の圧力依存性 (Ba_<1-x>Ca_x)(Mg_<1/3>Ta_<2/3>)O_3系試料の静電容量の圧力依存性を常温〜20℃、最高1.5GPaの範囲で測定し、次の結果を得た。即ち、静電容量の圧力による減少率は、誘電率が大きい組成ほど顕著である。そのため、静電容量圧力係数の組成依存性は比誘電率の組成依存性と対称的形状になり、さらに、温度の上昇と共にその凹みが浅くなる。 3.弾性定数と誘電性との相関 調合組成が(Ba_<1-x>Ca_x)(Mg_<1/3>Ta_<2/3>)O_3である一連の緻密な焼結体試料の縦波と横波の音速から各種弾性定数を算出した。従って、弾性定数と誘電性との相関という類例希な次などが判明した。(1)単一相固溶領域であるxが0.24以下でヤング率と比誘電率とが見事に相関する。即ち、ヤング率はxとは逆に直線的に減少し、比誘電率は直線的に増加する。この事実は機械的に柔らかさと静電的なそれとが本来的に関係することを確かめている、と解釈される。(2)体積弾性率と比誘電率に見られる関係は前記相関に劣る。この差異を比誘電率とリング率は1次元の変位であるのに対し、体積弾性率は3次元変位の柔らかさであるとの差に起因すると考察した。(3)圧縮率と比誘電率の圧力係数とがxが0.24以下で類似の組成依存生を示した。
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