研究概要 |
本研究ではまず,センサーと情報伝達手段として光ファイバーを利用することについて検討した。 光ファイバーをスーパーハイブリッド材料内に埋め込むことによる材料の力学特性の変化はなかった.しかし、材料に加えられる外力に対して、埋め込んだ光ファイバーのセンサーとしての感度は極めて微弱であり,光ファイバーを,フィードバック可能なセンサーとして利用するには,例えば光干渉機構を備えたブラッグファイバーのようなものでなければならないと考えられる。しかしこれは非常に高価なものであって今回の研究では検討できなかった。そこで光ファイバーを埋め込んだスーパーハイブリッド材料の簡単な利用法としてどのような利用法があるかを検討した.その結果疲労損傷検出可能材料となること、本材料で継ぎ手構造を構成する場合、継ぎ手のヘルスモニタリングが可能であることを明らかにした。 次に本スーパーハイブリッド材料は材料中のCFRP層を通して伝達される電力をエネルギー源とし、ねじれとたわみを出力する形状可変性構造材料,および,振動特性可変材料となりうることを明らかにした.すなわち,CFRP積層材料は積層角に依存する電気抵抗を有し,抵抗発熱体として機能することがわかった.CFRP斜交積層材を含む逆対称積層材は,硬化後捩れを含むたわみ変形を生ずるが,これをジュール加熱によってコントロールできる可能性があることがわかった.さらにCFRP部をジュール加熱することにより材料の制振性を変え得ることも明らかになった.制振特性は温度のほかに積層構成にも依存するため積層構成を変えることにより,種々の特性を得ることが可能であると考えられる. 本材料の現段階は光通信機能、電力伝送機能、変位・力出力機能を、それぞれ単独に、あるいは組み合わされたものとしての機能を有する、半スマート材料の段階にまで達したと結論される。
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