研究概要 |
JIS A-1070材およびJIS A5052材のアルミニウム合金,Cu-3%Al合金についてその光反射特性と結晶面方位との関係,ならびにCu-Zn合金も含む銅合金に関して粗大結晶粒を利用した装飾用材料の研究を行った.その結果,純度の高いアルミニウムに関しては, (1)光沢のある結晶(Aタイプ)は表面が平滑である.つや消し面の結晶(Bタイプ)は波板状にエッチングされる. (2)Aタイプ結晶は主として{310}{100}Bタイプ結晶は主として{110}面およびその微斜面(vicinal face)である. (3)Bタイプ結晶の波板状模様の長手方向が結晶〈100〉方向とほぼ一致する. (4)結晶間で〈100〉方向が数度〜約80度分散しているために、光の主反射方向が結晶毎に異なり,その結果装飾性が得られるものと考えられる. アルミ銅に関しては, (5)表面が平坦な結晶面(Aタイプ),ストライプ状の凹凸が見られる結晶(B1タイプ),ストライプが波打っている結晶(B2タイプ),サイコロ状(直方体)の凹凸(Cタイプ)からなる結晶面に分類できる. (6)ストライプ状の模様は{111}面が優先腐食され,結晶面との交線として現れたものである.以上の結果から,どの方向から見ても何れかの結晶が輝くように見えるためには,少なくともストライプ状の凹凸を持つ結晶間の方位が適度に分散していることが必要であることが分かった.したがって、熱処理と加工方法の適切な組み合わせにより,ランダムな配向を有する材料を使用することが重要であると考えられる.また、エッチング液による現出面の制御を組み合わせることにより、多様なエッチング面を有する結晶面の出現を促進し,より複雑な光反射が得られ,より装飾性の高い材料が開発できるものと考えられる.特にアルミ銅やマルモブラスなどの銅合金に関しては、欧米のライフスタイル様式を取り入れたクラフト製品やインテリア製品などへの応用が考えられ,新素材としてこれからの製品開発にその可能性が期待できる.
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