研究概要 |
まず、二酸化炭素の電気化学的還元方法の比較を行った。銅電極を用い、二酸化炭素のパルス電解還元について検討した結果、従来の直流電解還元よりメタンおよびエチレンの生成効率が高く、しかも長時間電解で、より安定であることが判明した。次に、種々の銅合金電極を作製し、二酸化炭素を飽和した0.1モル炭酸水素カリウム溶液中における二酸化炭素のパルス電解還元によるメタンおよびエチレンの生成効率を検討した。そのため、アモルファスCu-Zr,Cu-Ti合金を単ロール法により、また結晶質Cu-Ag合金をスパッター法により作製し、電極とした。液体急冷アモルファスCu-(30,40,60)Zr,Cu-30Ti合金(いずれも原子%)のメタンおよびエチレンの生成効率はいずれも3%以下の低い生成効率を示した。しかし結晶質Cu-Ag合金電極は少量のAgを添加した場合(5-7at%)、純銅電極よりもメタンの生成効率は上昇した。ただし、多量のAg添加はメタンの生成に有害である。一方。エチレンの生成効率はAgを添加しても向上しなかった。また、純Agではメタンおよびエチレンの生成をほとんど示さないが、少量のCuを添加した合金電極では生成効率が上昇した。しかし純銅のそれを上まわらなかった。そこで、二酸化炭素の還元カソードにガス拡散電極を適用した。スパッター蒸着したCu-Ag合金の粉末、カーボンブラック粉末およびテフロン懸濁液を混ぜ、ガス拡散電極を調製した。その結果、カーボンブラックのみから成るガス拡散電極では水素だけ生成するが、Cu-Ag合金触媒を坦持した電極ではメタンおよびエチレンが生成した。電解電流密度はきわめて大きくなるが、メタンおよびエチレンの生成効率は板状Cu-Ag合金電極の場合より低下した。
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