研究概要 |
1. はじめに:近年の機能性素材の開発において,素材原料となる微細粒子群の形状を厳密に制御することが重要な課題となっている。これに伴い,製造された微細粒子群中から有用な形状粒子群を物理的に選別・分離する,いわゆる粒子形状分離技術の確立が切望されている.本研究では,液体中において微細粒子群の付着・凝集が生じにくいことに着目し,連続式の湿式形状分離装置の開発を試みた。約50〜250μmの球状・非球状粒子混合物を用いて本装置の分離性能を基礎的に検討した. 2. 湿式形状分離装置の開発:本研究で設計・開発した分離装置は微細粒子群の付着・凝集を防止するために界面活性剤水溶液で満たされている.異形原料粒子群は回転傘型円板上の中心部に連続的に供給され,円板上で分離作用を受けた後,円板外周下部のサンプラー中で回収される.本装置での粒子形状分離は円板上における異形粒子間の静止転がり摩擦特性の差異を利用したものである. 3. 実験結果と考察:(1)円板上残留粒子をノズルからの液の噴流によって円板上から掃き流し円板外に排除すること(本研究ではこれを掃流操作と呼ぶ)により,連続的な形状分離操作が可能となる,(2)分離効率は円板表面粗度,粒子径,掃流流量,傘型円板表面傾斜角,円板回転速度,装置回転速度によってかなり影響を受ける,(3)適切な操作条件下では,約50μmの比較的微細な粒子群の形状分離操作も可能である,(4)微細粒子群を形状分離装置に微量定量供給するために,液中・超音波場を利用した湿式粒子供給器を試作した結果,同供給器が有効であること,などを確かめた.
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