研究概要 |
本研究では,膜型混合バイオリアクターシステムとブロピオン酸菌の生産するビフィズス菌特異的増殖促進物質(BGS)とを利用した,生菌製剤としてのビフィズス菌の効率的生産法を開発することについて検討した。本研究において得られた結果は,以下のようにまとめられる。 1. プロピオン酸菌培養液が示す増殖促進作用を定量的に測定するために,Bifidobacterium longumを被検菌として高感度な寒天平板拡散法を用いたバイオアッセイ法を確立した。 2. ビフィズス薗の増殖に対するプロピオン酸菌の培養液が示す促進作用を,A)誘導期の短縮,B)比増殖速度の向上,C)最終菌体濃度の増加,D)生菌率の増加,E)増殖収率の変動などを指標にして検討した。その結果,BGSを含む培養液の添加によってビフィズス菌の最終濁度および生菌率が増加することがわかった。 3. プロピオン酸菌は,ラクトースやグルコースなどの糖質に比べて,乳酸の発酵速度が速いことがわかった。したがって,糖を炭素源としてビフィズス菌と混合培養することによってプロピオン酸菌の増殖が促進されると推定された。このように,ビフィズス菌とプロピオン酸菌の間には,増殖に関して相互に協調関係が成立することがわかった。 4. 2台の発酵槽と2本のホローファイバー型精密濾過膜モジュールとを組み合わた膜型混合バイオリアクターシステムを開発した。このシステムを用いて,B.breveまたはB.adolescentisとPropionibacterium freudenreichiiとの膜型混合培養を行った結果,ビフィズス菌は単独培養に比べて約1.4〜2倍濃度まで生育させることができた。
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