研究課題/領域番号 |
09650875
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物・生体工学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高木 昌宏 大阪大学, 大学院・工学研究科・応用生物工学専攻, 助教授 (00183434)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1997年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | モノクローナル抗体 / 光増感 / ガン光線力学治療 / 光水素発生 / 電子伝達 / 水素発生 / 励起三重項状態 |
研究概要 |
抗ポルフィリン抗体L鎖が、ポルフィリン鉄錯体を包接した状態でベルオキシダーゼ活性を有する新規抗体酵素L-zymeを開発した。Oxford Molecular社製の抗体構造予測プログラム(AbM)を用いて、抗体可変部領域の構造を予測し、L-zymeは自然界のペルオキシダーゼ反応機構と類似の反応様式を備えている可能性が強く示唆された。また、ポルフィリンの亜鉛錯体を抗体L鎖タンパク質で包接する事で光増感を向上させ、光水素発生反応を促進させた。TCPP Zn(II)の励起三重項状態の平均寿命をレーザーフラッシュフォトリシスにより測定したところ、平均寿命はTCPPZn(II)単独の場合では433μsであったのに対してTCPP Zn(II)+13-1L鎖複合体の場合は811μsとなり光増感能の上昇は励起三重項状態の平均寿命の増大により生じていることが認められた。ヒト子宮頸部ガン細胞(HeLa細胞)、ヒト肝ガン細胞(HepG2細胞)及びヒト正常肺線維芽細胞(WI-38細胞)について、光増感剤であるヘマトポルフィリンと赤色光で処理を行った際、HeLa細胞では、ポルフィリン濃度と光照射時間に依存してアポトーシスを起こしていた。アポトーシスを抑制するbcl-2遺伝子を組み込んだHeLa細胞を用いた結果、死滅抑制を確認することができたが、DNAのヌクレオソーム単位への断片化は起こらなかった。さらに、MAPKであるJNKがわずかであるが活性化され、p38は明らかに活性化された。紫外線照射の場合、DNAの断片化を明瞭に確認することができ、JNKとp38は共に強く活性化された事より、光処理とUV照射ではDNA断片化やJNK活性化において、シグナル伝達経路に違いがあるものの、照射によって細胞内でROSが生じ、物理化学的ストレスとなってガン細胞が死滅している点で共通であると考えられた。
|