研究概要 |
穏和な条件下で炭酸ガスを固定化することのできる光触媒の探索を行った結果,酸化ジルコニウムが水素ガスにより炭酸ガスを一酸化炭素に光還元する有効な触媒であることが見いだされた.酸化ジルコニウム上で水素,炭酸ガスを原料とする表面中間体としてギ酸イオンが生成し,このギ酸イオンと二酸化炭素とで,一酸化炭素ならびに炭酸水素イオンが生成することがわかった.表面に残された炭酸水素イオンは水酸基および二酸化炭素に分解しこれが還元されて再びギ酸イオンが生成する.このように,触媒的に反応が循環することがわかった.一方,メタンを還元剤とする二酸化炭素の光還元でも中間体はギ酸イオンであるものと考えられる.メタンは,還元剤の水素を供給するものであり,残りのメチルあるいはカルベンは表面炭素残渣ととして残されることが見いだされた.従って,メタンを還元剤として用いた場合,炭素残渣が活性点を被覆する可能性があり,失活が大きい.酸化ジルコニウム以外では,チタニア担持ロジウムが水素により炭酸ガスを一酸化炭素あるいはメタンまで還元することも見いだされた.チタニア担持ロジウムでは,触媒の前処理を変えることにより生成物への選択性を変えることができる.つまり,ロジウムを還元するとメタン生成が主反応となる.この場合,光照射がなくとも反応の進行が認められることから,光触媒的に進んでいるとは言い切れない.一方,ロジウムを酸化物として用いた場合,高収率で一酸化炭素が生成することが見いだされた.
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