研究課題/領域番号 |
09650957
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
年光 昭夫 (年光 昭男) 京都大学, 化学研究所, 助教授 (60127107)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | エピセレノニウムイオン / 立体保護 / 電子吸引基 / 炭素-炭素結合生成反応 / キラル炭素 / トリ-t-ブチルフェニル基 |
研究概要 |
本研究成果報告書はエピセレノニウムイオンの単離を目的として行った研究から得られた知見のうち、予備的ではあるが重要と考え公表した結果をまとめたものであり、三部から構成されている。以下にその概要を述べる。 第一部ではアリールセレン基の隣接基関与を伴うリッター型の反応によりキラルアルコールからアミドを合成する際、アリール基に嵩高い置換基を導入すると生成するアミドの光学純度が高いことを報告している。これはキラルエピセレノニウムイオン中間体のラセミ化を抑制したためであり、同中間体のセレン原子の立体保護が本質的に重要であると推定した。これを確認するために同中間体と炭素求核種との反応を行い、通常は唯一の反応経路である炭素-セレン結合生成反応が全く進行しないことを示した。セレン原子の立体保護によりエピセレノニウムイオンを単離しようとの戦略の基礎となる成果である。 第二部では上述のキラルアルコールを原料とするリッター型の反応で、セレン原子に結合したアリール基に嵩高い置換基だけではなく、電子吸引性の置換基を導入しても中間体のラセミ化を抑制する効果があり、これら二つの置換基効果には加成性があることも報告してる。さらに、ラセミ化の機構について考察し、高配位セレン化合物を経由してラセミ化が進行する可能性が非常に高いことを指摘した。 第三部ではこの高配位セレン化合物の性質について検討した結果であり、同族のイオウに比べてはるかに高配位化合物になりやすく、有機合成反応にも利用できることを明らかにしている。本研究計画の副産物ともいえる成果である。
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