研究概要 |
我々はこれまでペンゾジシラシクロブテン類のニッケル、パラジウム、および白金錯体触媒存在下での反応を行い、生成する化合物の構造は触媒として用いた金属の種類に大きく依存することを報告した。本年度は、分子内に2つの含ケイ素四員環を有するベンゾビス(ジシラシクロブテン)を合成し、白金およびパラジウム錯体触媒存在下、アセチレン類との反応を行った。触媒量の(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)白金錯体存在下、ベンゾ[1,2:4,5]ビス(1,1,2,2-テトラエチル-1,2-ジシラシクロブト-3-エン)(1)と3当量のジフェニルアセチレンアセチレンとの反応をベンゼン還流下、6時間の条件で行うと、ベンゾ[1,2:4,5]ビス(1,1,4,4-テトラエチル-2,3-ジフェニル-1,4-ジシラシクロヘキサ-2,5-ジエン)(2)が91%の収率で得られた。同条件下、化合物1とアセチレンおよび3-ヘキシンとの反応を行うと、ベンゾ[1,2:4,5]ビス(1,4-ジシラシクロヘキサ-2,5-ジエン)誘導体が収率良く得られた。また、化合物1と同様のアセチレン類との反応をテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム錯体触媒存在下で行うと、白金錯体との反応と同じくベンゾ[1,2:4,5]ビス(ジシラシクロヘキサジエン)誘導体が高収率で得られた。これらの反応においては、プラチナジシラシクロペンテン類およびパラダジシラシクロペンテン類が、反応中間体として非常に重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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