研究概要 |
本研究では、シリル化された求核性モノマーを用いる縮合系高分子の新規な合成法としてシリル化法を確立するために、以下の研究テーマについて検討した。 1.N-シリル化芳香族ジアミンを用いる有機ポリマー/無機ハイブリッドの合成法の開発 まず、N-シリル化芳香族ジアミンと6-置換1,3,5-トリアジンジクロリドの重縮合により、シリルクロリドを脱離しながら容易に高分子量の芳香族ポリグアナミンが生成する。この重縮合は中性条件下で高分子量のポリマーを容易に与えるため、従来法と比較して優れた合成法である。このシリル化法をゾル-ゲルプロセスによるポリマー/シリカ複合体(ハイブリッド)の合成に応用することができる。つまり、N-シリル化芳香族ジアミンとアルコキシシリル基置換トリアジンジクロリドの重縮合によりアルコキシシリル基を側鎖に有する芳香族ポリマーを合成し、次いで、このポリマー存在下でテトラエトキシシランのゾルーゲル反応を行い、ポリマーマトリックス中にシリカ微粒子が共有結合を介して均一に分散した有機ポリマー/無機ハイブリッドを容易に合成できることを明らかにした。 2.N-シリル化脂肪族ジアミンを用いる脂肪族系ポリイミドの合成法の開発 まず,N-シリル化脂肪族ジアミンとテトラカルボン酸二無水物の重付加により,高分子量のポリアミド酸シリルエステルが容易に生成した。このシリル化前駆体ポリマーを加熱イミド化することで、脂肪族系ポリイミドを得ることができた。さらに,シリル化剤を重合系に添加させるin-situシリル化法を新たに開発し,脂環式ポリイミドをより簡便に合成することができた。 以上のように,N-シリル化ジアミンを用いるシリル化法により,従来法に比べてより簡便に有機ポリマー/無機ハイブリッドや脂環式ポリイミドを合成することができ,さらにシリル化法の改良法としてin-situシリル化法を開発することができた。
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