研究概要 |
主鎖にビフェニレンやビナフタレンなどの光学活性な軸不斉構造を導入した芳香族ポリアミドを合成した。この安定構造をコンピューターで計算すると新規ならせん構造をとることがわかり、その熱的安性をしらべたところ120℃までらせん構造を保持できることがCDスペクトルより確認された。メタンスルホン酸のような強酸中でもこのらせんは安定で、水素結合によりらせん構造を保持するペプチドと全くことなる新しいらせんポリマーであることがわかった。この新規ならせんポリマーの主鎖にアゾベンゼン構造を導入したところ、光照射により可逆的なトランスーシス転位が起こり、らせん構造が大きく変形することがわかった。この光反応を利用すると、非線形光学材料への応用が可能となり、実用的にも興味がもたれる材料である。さらに、このポリアミド合成は、ポリエステル,ポリウレタン,ポリ尿素など各種ポリマーの合成に拡張できることがわかった。例えば、芳香族ポリアミンは、ポリアニリンと同様な酸化還元応答を示すことが認められ、ポリマーの電子およびプロトン移動によりらせん構造が大きく変形することがわかり、酸化還元応答材料としても有用なものである。
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