研究概要 |
ο-ターフェニル部位を持つモノマーの位置/反応選択的な合成と重合(a)と環集合部位を有する定序配列全芳香族ポリケトンの合成に関するモノマーの精密合成およびその重合(b)を検討した。(a) ο-ターフェニル骨格を形成しながら重合性の分子を構築する方法は,非対称二置換ベンゾフェノンは効率よく得られたが(硫酸第二鉄、収率58%),隣り合った炭素上での芳香族交差二重カップリングが進行せず利用できなかった。ο-ターフェニルのビス(ρ-クロロベンゾイル)化では,五酸化二リン-メタンスルホン酸(P_2O_5-MsOH),ポリリン酸,メタンスルホン酸(以上直接縮合),塩化アルミニウム,硫酸第二鉄(フリーデル-クラフツアシル化反応)を縮合剤として用いて選択性向上(モノアシル化体の抑制)と転化率の確保等を検討し,最大63%(モノアシル化体7%)の転化率で2つのρ-クロロベンゾイル基を持つο-ターフェニルモノマーが得られた(P_2O_5-MsOH中)。重合は還元剤に亜鉛,配位子にPPh_3およびビピリジル,溶媒にDMAc,NMP,DMFを用いた遷移金属(ニッケル)錯体触媒の芳香族カップリングにより行なった。重合中に生成物が析出した。生成ポリマーのインヘレント粘度は最大で0.17dL/gで,ガラス転移点は184℃,460℃まで重量減はなく,10%重量減温度は570℃であった。(b) フッ素含有基の数と置換位置によるポリマーの配列の規則性の制御を試みた。分子内にアシル受容部位と親電子攻撃部位を持つ一分子重合型のモノマー(頭-尾構造構築)と2種の二分子重合型モノマー(頭-頭型とランダム型構築)を合成し,P_2O_5-MsOH中での直接重縮合を試みた。得られた頭-頭型,頭-尾型,ランダム型の3種の芳香族ポリケトンの分子量は^1H-NMRによる末端定量法計算から,2800,3300,および5800と推定された。
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