研究課題/領域番号 |
09651003
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
高分子構造物性(含繊維)
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
古川 猛夫 東京理科大学, 理学部, 教授 (90087411)
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研究分担者 |
高橋 芳行 東京理科大学, 理学部, 助手 (80266923)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 焦電性 / 温度ジャンプ / ダイナミクス / 熱膨張 / 圧電性 / フッ化ビニリデン / 強誘電性 / 高分子 |
研究概要 |
分極処理を加えた強誘電性高分子にナノ秒YAGレーザパルスによる温度ジャンプを与えると、焦電性に起因する電荷応答が広い時間帯にわたって観測される。本研究はこのような電荷応答の時間スペクトルを定量的に解析することによって、焦電ダイナミクスの機構を解明することを目的に行われた。測定システムとして現有のYAGレーザ(Surelite I)と高速デジタルオシロスコープ(TDS620)に加え2倍波結晶を購入し、プリアンプ部と測定及び解析ソフトウェアを開発した。その結果7nsの温度ジャンプに対し、電荷応答の1ns〜10sにおける広い時間帯の時間スペクトルの測定が可能となった。試料としてフッ化ビニリデン(VDF)と三フッ化エチレン(TrFE)の75/25mol%共重合体を用い、光熱変換用色素を混入後キャスト法による成膜を行った。フィルムの両面に薄い金電極を蒸着し、分極処理の後測定を行った。得られた電荷応答の時間スペクトルは、温度ジャンプと同時に現れる瞬間成分、厚みおよび長さ方向の熱膨張と圧電性の結合による2つの振動成分および外部への熱拡散による減衰成分からなることがわかった。曲線当てはめによりこれらの成分を分離した結果、瞬間成分は全体の20〜30%程度であり、熱膨張と圧電性の結合によるいわゆる二次効果が焦電応答の主体であることが明らかとなった。試料の温度を変化させて測定を行ったところ、キュリー点近傍で焦電応答が増大した後、転移とともに減衰、消失した。その際、まず振動成分が先に消失したのち、瞬間成分がより高温において消失することがわかった。この方法で得られる焦電応答は、分極量の温度変化を直接測定して得られる準静的な焦電率測定と比較して温度変化が小さい。このことは,今回測定した焦電応答曲線の時間範囲より長時間側にゆっくりした過程が存在することを示している。
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