研究概要 |
収縮・膨脹運動する模型を製作し,推力の計測ならびにPTV法による波動面周りの流れの可視化を行い,収縮・膨脹運動による高粘性流体中での推力発生の可能性を確認している.続いて,本研究で開発した数値シミュレーション法を用いて,収縮・膨脹運動による物体表面波形が後方に伝播する場合の推力発生メカニズムを解析し,この場合の推力の主成分は圧力であり,浅吃水ほど推力が高くなることを示した.さらに,レイノルズ数が非常に低い運動の場合は,流体力の主成分は摩擦となり,収縮・膨脹運動による物体表面波形が前方に伝播するトロコイド波の場合に,より大きな推力を発生するという新しい事実を見いだしている.また,アクティブに変形する矩形板まわりの3次元流れの数値シミュレーションを行い,変形と推力ならびに流れについて考察した.矩形板前縁から後縁にかけて振幅が増加する「振幅増加波形」と振幅が一定の「正弦波形」について比較し,レイノルズ数が1000の場合,正弦波形に比べ振幅増加波形が有効に推力を発生する一方,粘度を高くしたレイノルズ数100の場合では,振幅増加波形よりも正弦波形が有効に推力を発生していることが判明した.このように,収縮・膨脹運動する場合も,波状に変形する場合も,粘度すなわちレイノルズ数に適応した動きが存在することが判明した.さらに,推力および推進効率が最大となる波数が存在すること,また,波数に対して効率が最大となる波速/流速比が存在することが判明した.
|