研究概要 |
構造位相設計に関して,候補集合の中から構造要素を選択し,それらを結合させていくことで構造を生成する設計問題がある.これを“レゴ構造設計"と呼ぶ.本研究では,レゴ構造設計の最適化に確率的ニューラルネットワークのボルツマンマシンを適用するとともに,その形状評価に3次元視覚インタフェイスを導入した. ボルツマンマシンの入出力関数について,シグモイド型ではなく,階段型関数の導入を提案した.その結果,最適化の過程において,設計者の意思(構造要素の増減)を設計解へ直接的に反映させることが容易となった. 3次元視覚インタフェイスとしてヘッド・マウンテッド・ディスプレイ(HMD)を導入し,その立体視の機能を活用するための環境条件を明確にした.すなわち,対象物の表面は拡散反射,対象物は明るく背景は暗く,対象物の色は暖色系,視点間隔は通常値で視距離は5〜l0m,光源は無限遠光源と設定すれば,静止画像でも効果的である. 構造物の設計では,設計解が表現する形態や形状を人間に認知させなければならない.3次元構造とくにトラス構造では,2次元と比較すると,その形状を視覚的に把握することが格段にむずかしくなる.トラス構造を対象としたレゴ構造設計について,得られた構造の3次元コンピュータ・グラフィックス(3DCG)ステレオ画像を作成してHMDに入力し,人間に認知させた.その結果,立体視は形状理解を支援するが,HMDによって人間が強いられる負荷も大であった.視界および画質にもよるが,両眼視差を利用するHMDの将来性は疑わしい.CADシステムでは,3DCGによるアニメーションが形状評価での主役を当面続けるものと推測する.
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