研究課題/領域番号 |
09660025
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
園芸・造園学
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
大野 始 静岡大学, 農学部, 助教授 (20126840)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1997年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | シンビジウム / 花色発現 / アントシアニン / 唇弁 / 高温 / 温度 |
研究概要 |
アントシアニンを主要な花色素にもつ赤色系シンビジウムの花色発現は、がく片や花弁においては他の植物と同様、低温により促進され、高温によって抑制される。しかし、花弁と形態学的にはまったく相同の器官である唇弁では、逆に高温で花色発現が促進される。このたいへん興味深い花色発現の温度によるディファレンシャルな調節機構を明らかにするため、ルビーアイズ‘ゴールデンスター'、サザナミ‘ハルノウミ'、バレーフラワー‘スリーリップ・メルヘン'の3品種を用いて研究を行った。 その結果、開花時の唇弁におけるアントシアニン色素による発色パターンが、高温処理開始時の花蕾の発育ステージ(蕾の大きさ)により大きく変化する興味深い現象が見い出された。すなわち、高温により唇弁の花色発現が促進されるのは花蕾の発育ステージの比較的早い段階であり、発育ステージが進むほど高温による促進効果は低下し、ある段階以上に発育の進んだ花蕾では高温の効果は見られず、低温と同じ発色を示すことが用いた3品種において確認された。さらに、唇弁の花色発現の促進は3日間という比較的短期間の高温でも不可逆的に誘導されることが示された。また、バレーフラワー‘スリーリップ・メルヘン'では、本来の唇弁のみならず、唇弁化した2枚の花弁においても、高温によりアントシアニンによる発色が促進され、花器官の唇弁化と花色発現の温度に対する反応とは密接に関係していることが明らかとなった。このほか、高温によって促進される唇弁の花色発現は、除雄や受粉によって誘導されるアントシアニン蓄積とは異なった現象であることも示唆された。 なお、当初予定していたアントシアニン合成経路の温度により調節を受けるステップの解明は、今後の研究の展開に待つこととなった。
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