研究概要 |
ダイコン,ダイズの緑色組織におけるグルタチオン(GSH),ホモグルタチオン(hGSH)および関連するチオール化合物の分布を明らかにした.HGSHの標品は固相法により化学合成した.ダイズはhGSHのみを含んでいるが,粗酵素液を用いてhGSH合成酵素はGSH合成酵素と基質特異性が明らかに違うことを示した.ダイズにはhGSH合成酵素の基質となるβ-アラニンが存在していたが,ダイコンではその存在は認められなかった.ついでタイコンよりグルタミルシステイン合成酵素(GluCys合成酵素),GSH合成酵素,ダイズよりhGSH合成酵素を,硫安分画,および種々のカラムクロマトグラフィーを用いて部分精製した.GSH合成酵素の分子量は約60,000であり,単量体であることを示唆した. hGSH合成酵素はこれまで報告されているものより高度に精製した.いずれの酵素も至適pHは8付近にあり,ATPおよびMg^<2+>に依存していた.またいずれの酵素も葉緑体型と細胞質型があるといわれているが,精製の過程でそれぞれについて2種類存在することの確認はできなかった.次にGluCys合成酵素およびhGSH合成酵素のcDNAを単離するため,ダイズよりcDNAライブラリを作成した.シロイヌナズナのgsh1およびgsh2をプローブとしてダイズcDNAライブラリーよりGluCys合成酵素,hGSH合成酵素のcDNAの単離を行い,それぞれ数クローンを得た.GluCys合成酵素はN末端が少しかけたものが得られた.ダイズとシロイヌナズナ,トマトのcDNAとは極めて相同性が高いことが分かった.hGSH合成酵素につては,3クローン得られたが,いずれもシロイヌナズナのgsh1との相同性が低く,得られたcDNAはhGSH合成酵素のそれではないと結論した.現在再クローニングを試みている.
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