研究概要 |
2-オキソ酸:フェレドキシン酸化還元酵素(OFOR)は、フェレドキシンを電子受容体として2-オキソ酸を酸化的脱炭酸する酵素で、すべての古細菌、一部の真正細菌および一部の真核生物に分布する。その構造と機能については遺伝子発現を含めて十分には研究されていない。本研究では、好酸好熱性古細菌Sulfolobus sp.strain 7のOFOR(a,bヘテロダイマー)を材料として、遺伝子発現系の確立、変異体作成と解析を行った。a,bサブユニットの遺伝子を個別に持つプラスミド、さらにこの両者からa,bサブユニットの両方を持つプラスミドを作成し、大腸菌を形質転換して発現を調べた。a,bを同時発現させると、天然型とほぼ同一の性質(分子量・温度依存性・pH依存性・比活性・基質特異性)を持つ酵素が得られた。さらに、OFORファミリーにおいて機能がまだよくわからないaサブユニットの中にある保存配列YPITP(本酵素の第253〜257残基)に着目し、アミノ酸を一カ所ずつ置換させた変異体を作成して、同モチーフの機能を明らかにすることを試みた。a,bサブユニットの両方を持つプラスミドを作成し、大腸菌を形質転換してOFORの発現を調べたところ、天然型とほぼ同一の性質を持つ酵素を得ることができた。野生型酵素と比較した結果、Y253とP257の変異体は活性を失っていたが、それに対してP254、I255、T256の変異体は活性を保持していた。このことから、保存配列のうち、Y253とP257はOFOR活性に必須であることがわかった。
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