研究課題/領域番号 |
09660079
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用微生物学・応用生物化学
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
柏村 直樹 三重大学, 生物資源学部, 教授 (20026412)
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研究分担者 |
稲垣 穣 三重大学, 生物資源学部, 助手 (20242935)
西川 司朗 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (50024592)
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研究期間 (年度) |
1997 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 脂溶性糖質 / 抗がん転移作用 / ヒトがん細胞株 / 抗細胞接着作用 / トリチル化糖 / トリチルヌクレオシド / トリチル配糖体 / 接着分子 / トリチル基 / 脂溶性糖質誘導体 / 細胞接着阻害 / 好中球 / 抗炎症作用 / P-ジメトキシトリチル基 / シクロデキストリン誘導体 / マウス乳がん細胞 / がん細胞浸潤 / 基底膜 / トリケル基 / 抗尖症作用 |
研究概要 |
これまでの研究で、トリチル基を有する糖質誘導体は、白血球の内皮細胞への接着と血管内皮細胞の接着分子の発現阻害作用を示すことがわかっていたので、その知見を基に、1)トリチル基を有する他の有機化合物との比較、2)in vivoでのがん転移阻害作用の確認、3)より活性の高い糖質分子の設計、および4)作用機構の解明、の4点を具体的目標とした。まず、アミノ酸、ヌクレオシドの含トリチル体を調べ、前者は無効、後者は極めて有効であることがin vitroの試験で示された。つぎに、単糖、オリゴ糖、多糖を調べ、前二者は、トリチル基の位置と糖の骨格に関して特定の構造のものが活性を示すことがわかった。つぎに、動物実験は、ヒトがん細胞とマウス乳がん細胞を取り上げ、前者については、38種の株で中程度の増殖抑制が示され、後者については、3種の投与法で有効であることが示された。トリチル基を含む糖質のこれらの生理活性は全く新規なものであったが、作用機構については、接着阻害以外の情報伝達阻害機構、例えばアポトーシス誘導、チュウブリン形成阻害、メタロプロテインナーゼ阻害、プロテインキナーゼ阻害などの活性は全く見られず、ベンジル・ベンゾイル基含有糖の生理活性と同じかもしれない。本系の化合物は、細胞毒性は10^<-4>M以下では全くなく、動物実験で有効であったので今後ヒトがん細胞へのテストやヌードマウスでの実験が期待される。シクロデキストリン誘導体は、トリチル基では α体のみに活性が見出されたのは興味深い。シクロデキストリンの新規な生理活性としての応用が考えられる。以上の研究の結果、トリチル基を有する糖質にはじめてがん細胞浸潤阻害作用とがん転移阻害作用が見出された。今後、新規な制がん剤候補のリード化合物となる可能性を期待したい。
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