研究課題/領域番号 |
09660084
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用微生物学・応用生物化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉川 正明 京都大学, 食糧科学研究所, 教授 (50026572)
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研究分担者 |
竹中 康之 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (20273518)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1997年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 補体 / C3a / C5a / ペプチド / 食品タンパク / カゼイン / アルブミン / Albutensin / ヒストン / ヘモグロビン |
研究概要 |
補体C3aは補体系の活性化の際に分子量19万の補体C3のN末端から派生する77残基のペプチドであり、免疫系及び平滑筋に作用することが知られていたが、我々は新たに抗オピオイド及び抗健忘などの中枢作用を示すことを見出した。補体C3aレセプターを介して作用する低分子C3aアゴニストペプチドはカゼイン、米タンパク質、ヘモグロビン、血清アルブミン、ヒストン等多様なタンパク質から派生するが、これらのペプチドはC末端に疎水性残基-X_1-Leu-X_2-ArgというC3aと共通の配列を有している。このためにC3aレセプターに対して親和性を示すものと考えられる。同様なペプチドは既知の各種生理活性ペプチド中にも潜在的に存在することもわかった。このような配列がタンパク質中に高頻度で、しかも動物のみならず植物や微生物由来タンパク質中にも存在することから考えて、これらの配列が示すC3a活性がすべて生物学的にプログラムされたものであると考えるには無理がある。上記条件を満たす配列がランダムペプチドライブラリー中に存在する確率は1/3x1/20x1/20=1/1200となる。一方、ランダムDNAによって上記条件を満たす配列がコードされる確率を計算すると、Leu及びArgはいずれも対応するコドンを6種類有するアミノ酸であるため、1/3x6/64x6/64=1/341というかなり大きい値になる。いずれの方法で計算しても20^5=3.2x10^6種類存在するペンタペプチドの中にはC3a活性を示し得るものが多数存在し得ることを意味している。補体C3a類似のペプチドとして補体C5から派生する補体C5aがある。ブタ血清アルブミンから派生するAlbutensin A(Ala-Phe-Lys-Ala- Trp-Ser-Leu-Ala-Arg)はC3a及びC5aレセプターに対して親和性を示す。一方、ヒトラクトフェリンから派生するPhe-Lys-Asp-Cys-His-Leu-Ala-ArgはC5aレセプターに対して親和性を示す。補体C5aのC末端配列はLys-Asp-Met-Gln-Leu-Gly-ArgであるがこれらよりC5aレセプターに対する親和性にはC末端から7残基目のLysが必須であると考えられる。このように生物界には補体系以外からもC3a及びC5aアゴニスト活性を潜在的に有する配列が広範に存生し、それらの内の限られたものが生理的な意義を有するのであろう。それらのうちの適切なものを医薬または生体調節機能を持つ食品として利用することが期待される。
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