研究課題/領域番号 |
09660094
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用微生物学・応用生物化学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
杉尾 剛 岡山大学, 大学院・自然科学科研究科, 教授 (20033269)
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研究分担者 |
長澤 透 岐阜大学, 工学部, 教授 (60115904)
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研究期間 (年度) |
1997 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | Acidithiobacillus thiooxidans / Thiobacillus thiooxidans / 硫黄細菌 / コンクリート腐食 / 防菌剤 / ユビキノールオキシダーゼ / 鉄酸化細菌 / タングステン / 硫黄酸化細菌 / ニッケル / タングステン酸ソーダ / 硫化水素 / Thiobacillus ferrooxidans / Thiobacillus versutus |
研究概要 |
硫黄酸化細菌が原因の下水管及び下水処理施設のコンクリート腐食を防止する試薬の開発を目的に研究を進め、平成9年度から平成12年度の4年間に下記に示す成果を得た。 下水処理施設の腐食コンクリートから好酸性の硫黄酸化細菌NB1-3株を単離しThiobacillus thiooxidansと同定し、本菌の生育が、中性pHでニッケルによって強く阻害されることを示した。ニッケル以外にも、タングステンが特に酸性pHで本菌に強く結合し生育を強く阻害することを明らかにした。NB1-3株に対するニッケル及びタングステンの阻害部位がsulfur dioxygenase及びsulfite oxidaseであることを示し、これら金属が細胞膜に結合し、エネルギー生成に関与する酵素を強く阻害することによって生育を阻害することを明らかにした。pH9.5においても増殖可能な、アルカリ側に生育最適pHを持つ硫黄細菌RO-1株を下水処理施設腐食コンクリートより新たに単離しThiobacillus versutusと同定した。RO-1株は、pH9.0のチオ硫酸培地中に添加したコンクリートブロックからCa^<2+>の溶出を行ったが、T.thiooxidans NB1-3株は行わないことからRO-1株は調製後アルカリ性(pH12-13)を示すコンクリートの初期腐食に関与している硫黄細菌であることを明らかにした。全国8ヶ所の下水処理施設の腐食コンクリートから鉄酸化細菌Thiobacillus ferrooxidansを36株単離し、硫黄細菌のみでなく、鉄酸化細菌もコンクリート腐食に関与していることを初めて明らかにした。更に、鉄酸化細菌もタングステンによって強く阻害されること、またその阻害部位が鉄酸化酵素の重要成分であるcytochrome c oxidaseであることを明らかにした。 各種有機及び無機化合物を添加したコンクリートブロックを調製し、硫化水素濃度5〜80ppmの汚泥槽内で1〜5.5年間暴露試験を行い、ニッケル及びタングステンを混和したコンクリートが無添加のものと比較して顕著な腐食遅延効果があることを明らかにするとともに、腐食速度並びにイオウ侵入速度からコンクリート構造物の耐用年数を概算する回帰式を誘導し、防菌剤添加コンクリートの耐用年数を50年と概算した。
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