研究概要 |
Cyclo(leuccyl-phenylalanyl)(CFL)の両側鎖の脱水素体albonoursinの生合成前駆体,をCFLと推測し,培養2日目のalbonoursin生産菌KO23株の培養液にCFLを添加したところalbonoursin生成の増加が観察された。さらに休止菌体,無細胞抽出液を酵素とする反応でもCFLからalbonoursinへの変換が認められ,KO23株がCFLからalbonoursinを合成する酵素系を有することが明らかになった。本反応は酸素非依存性であり,最適水素受容体としてphenazine methosulfate(PMS)が最も優れていることを明らかとし,新たな本酵素活性測定法を確立した。続いて,本酵素系を精製したところ,CFLから片側脱水素体を経てalbonoursinへの合成を触媒する画分とCFLから片側脱水素体への反応のみを触媒する画分を分離することができた。 次に,CFLからalbonoursinへの脱水素反応の生合成中間体としてCFLの酵素反応液からCΔFL,CF△Lを単離した。最後に,基質をCFL以外のDKP,すなわちCGF,CAF,CFFに変えて反応を行ったところ,側鎖の両側または片側が脱水素されたと考えられる化合物の生成が認められ,そのうち,CGΔF,CAΔF,CΔFΔFを単離した。このように調製した脱水素体のうち,CΔFΔFのみがウニ胚卵割阻害活性を示したことから生理活性発現には両側鎖ともに脱水素されていることが必須であることが明らかとなった。またCΔFΔFの活性がalbonoursinより強かったことから,他の脱水素型DKP類の中により強い活性を示す化合物が存在することが示唆された。
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