研究課題/領域番号 |
09660112
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物生産化学・応用有機化学
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研究機関 | 京都大学 (1998-1999) 静岡大学 (1997) |
研究代表者 |
坂田 完三 京都大学, 化学研究科, 教授 (20087563)
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研究分担者 |
坂田 完三 京都大学, 化学研究科, 教授 (20087563)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | プリメベロシダーゼ / グリコシダーゼ / アフィニティークロマト / 香気生成酵素 / ニ糖配糖体 / β-プリメベロシド / アミジン塩 / 1-アミノ糖誘導体 / アフィニティークロマトグラフィー / 茶 / グリコシダーゼ阻害剤 / アミジン / アフィニティー / 配糖体 / β-プリメベロシダーゼ / p-aminophenyl 1-thio-β-primeveroside / グルコシダーゼ |
研究概要 |
茶の香気生成酵素β-プリメベロシダーゼのチャ葉中における分布などの総合的理解に向けての基礎を築くため、本研究ではβ-プリメベロシダーゼの簡易精製法確立のため、アフィニティークロマト用吸着体の調整に取り組んだ。 1.ρ-Aminophenyl 1-thio-β-glycosidesのをリガンドとする吸着体の調整と評価 既報の方法に従ってρ-Nitrophenyl 1-thio-β-D-glucosidesおよびρNP1-thio-β-primeverosideを合成し、接触還元後、市販のFormyl-Cellulofineに結合させた。これらをチャ葉の粗酵素と処理し、選択的吸着能を調べた。いずれもβ-グルコシダーゼおよびβ-プリメベロシダーゼともに吸着したが、選択的吸着は観察されなかった。 2.1-アミノ糖をリガンドとする吸着体の調整と評価 グルコースなどの各種単糖および酵素合成により得たプリメベロースのアミノ糖の合成を試み、実用可能な収率で合成できることを確認した。これらをそれぞれ無水コハク酸あるいは無水3,3-ジメチルグルタル酸と反応させて、それぞれの酸誘導体を得た。上記粗グリコシターゼを用いて阻害活性を測定した。1-アミノ糖はいずれも期待通り阻害活性を示したが、アシル化物はいずれも阻害活性を消失しており、リガンドとしての利用は期待できなかった。 以上のように、既報のリガンドはことごとく、本研究には適するものではないことが判明した。そこでやむなく原点に立ち返って、リガンドのデザインを基本的に見直し、β-アミノ糖を利用した新規なグリコシダーゼ阻害材の設計・合成に取り組んだ。 3.1-アミノ糖を利用したアフィニティークロマト用新規リガンドの開発 グルコース、ガラクトース、キシロースの各β-アミノピラノシドを得て、methyl phenylthiacetimidata hydrobromideと反応させて各単糖の新規アミジン塩(1,2,3)を高収率(83-95%)で合成した。これらの阻害剤は、対応するグリコシダーゼに対してKi=9.4x10^<-8>,2.4x10^<-6>,2.5x10^<-6>と極めて強い拮抗型阻害剤活性を示した。しかも、いずれも他の酵素に対しては10^<-2>〜10^<-3>の阻害の低下を来たし、極めて選択性の高いものであり、リガンドへの利用が大いに期待できる。 本研究では、当初既知のリガンドを用いてのアフィニティー吸着体の調整を計画したが、目的とする吸着体は得られず、原点に戻って新規阻害剤の設計からやり直し、思いがけなくも極めて阻害活性が強く、選択性も高い新規グリコシターゼ阻害剤を発見することができた。本合成法は糖の水酸基を一切保護せず、簡便で汎用性の高い合成法であり、選択性の高いアフィニティー吸着体の設計が可能であるばかりでなく、高度に基質特異性の高い阻害材としての利用もあり、グリコシターゼ研究に新しい局面を開くことになったことは予定外であるが、本研究の素晴らしい成果である。
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