研究概要 |
住宅における木造化率の低下や木材代替材料の進出が際立ってきている。特に,有限資源である天然木材に対し,人工生産が可能な新素材や異種材料との複合材料の開発が急ピッチで進められている。将来にわたって,木質材料の欠点を補ったり,優れた特性を付与するなど,高度な機能や構造特性を持った付加価値の高い新材料が市場に多く出回ることが予想される。 しかしながら,これら新材料の機械加工にあたっては、それぞれの材料特性が異なるため,これまで通りの天然木材に対する工具条件や加工条件のみでは対応することが困難となっている。そのため,逐一対象材料について,事前のテスト加工に多大な労力と時間の消耗を余儀なくされているのが現状である。 このような状況に対処するべく,事前のテスト加工をすることなく,新材料に合致した適正な加工条件(工具の形状等を含む)を知ることのできる技術の確立が望まれる。 本研究では,これまで取り扱う経験が全く無かった新材料について,その特異な力学的な材料特性を簡便な試験によって測定することで,工具による機械加工を実施した際の所要動力や適正加工速度等を予知し,さらには良質の機械加工をもたらし得る工具の形状等を推奨すること可能とする,新材料に係わる適正機械加工の評価方法の確立を図る。 すなわち,まず木質系複合材料およびプラスチック系複合材料数種を対象に,衝撃試験により,材料固有の強度特性値である破壊靭性係数を求め,同係数からの切削力(主分力および背分力)の算出を介して,丸のこによる鋸断加工に要する所要動力を推定する。
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