研究概要 |
シイタケ菌床での子実体発生に関わるラッカーゼ、セルラーゼのmRNAの消長を追跡した。 (実験) 1.シイタケ菌の品種は、12種類のものを検討した。KS-3、-4、-16、-23、-46、-56、-58、-60、-67、-76(周年栽培品種)、KS-12、-24(低音性品種) 2.菌床の調整は定法どおりに行った。菌床での培養齢を菌糸蔓延(90日)、菌糸集合(94日)、幼子実体(98日)、子実体成長(100日)、菌傘開(102日)、老成(104日)、2回目発生(140日)の7段階に分け、各段階でのラッカーゼ、セルラーゼ活性を測定した。 3.2回目発生前の浸水条件を変えて、異なる水分環境の培地を調製した。水分環境は水ポテンシャルで評価した。 4.2で7段階に分けた、それぞれの菌床からmRNAの発現についてRT-PCR法で検討した。 (結果) ラッカーゼとセルラーゼ活性は,子実体形成と明確な関係があることが明らかになった.ラッカーゼとセルラーゼ活性は,遺伝子転写のレベルで制御されている.ラッカーゼのmRNAのレベルは,コロニー形成の完成段階で最高になり,子実体形成期間に減少した.セルラーゼのmRNAは,原基形成段階に蓄積され始めた.セルラーゼのmRNAの転写は,子実体形成の開傘時に最高に発現された.この傾向は,子実体不形成の低温性品種に比較して,周年性品種の菌床において,より明らかであった.ラッカーゼとセルラーゼの転写は菌床の水分条件によっても影響を受けた.子実体原基の形成開始は,菌糸による急速なmRNA転写のための、培地水ポテンシャルが高い時に起きた.
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