研究課題/領域番号 |
09660191
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
古谷 研 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30143548)
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研究分担者 |
乙部 弘隆 東京大学, 海洋研究所, 助手 (10169328)
小松 輝久 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (60215390)
岸 道郎 北海道大学, 水産学部, 教授 (90214767)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 植物プランクトン / 環境収容力 / 養殖ワカメ / 三陸リアス式内湾 / 基礎生産力 / 物理生態系モデル / 自然蛍光 / ワカメ養殖 |
研究概要 |
岩手県大槌湾中央に定点を設け1998年1月19日から同4月27日にわたって現場観測と実験を行い、養殖ワカメと植物プランクトンの栄養塩消費者としての重要性に関して以下の結果を得た。 湾内外の海水交換は間欠的に生起し、主に北西の季節風をうけた吹送流によるものであった。観測中、ChaetocerosおよびThalassiosira主体の珪藻ブルームが2回の発生したが、両ブルームは季節風が弱まって湾内外の海水交換が低下したため生成したものであった。養殖ワカメは収穫開始時期の3月下旬まで成長したが、その後は末枯れが基礎生産量の8割以上に達して成長は低下した。基礎生産速度は成長に伴い増大して3月下旬には湿重量で30t/dayになり、期間中の湾内での基礎生産全量は45tCであり、そのうち81%が漁獲として水揚げされた。一方、植物プランクトンについては吸光係数および光合成の量子収率のデータベースを作成し、それぞれをクロロフィルaおよび光合成有効放射強度の関数として表した。これらを定点の7m層で連続モニターした自然蛍光値に適用して、植物プランクトンのクロロフィルa及び一次生産速度を推定した。推定値は実測値と良い一致を示した。この方法により得られた湾全体の植物プランクトン基礎生産全量は1.7×10^3tCであった。 以上から、植物プランクトンの基礎生産速度は常に養殖ワカメの20倍以上であり、湾内での全量では約38倍であることが分かった。天然海藻類の基礎生産力は養殖ワカメと同程度であると見積もられた。従って、湾内の栄養塩は大部分が植物プランクトン体として、養殖ホタテ、カキ類あるいは天然群集の従属栄養者へと配分されていることになり、その分配過程を解明することが、当海域の環境収容力を評価する上で重要な課題であることが明らかになった。
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