研究概要 |
魚介類筋肉に超高圧をかけると、その呈味が向上することに着目し、マダイおよびクルマエビの筋肉を中心に研究を行った。 マダイ:生きているマダイを即殺して得られる筋肉に、神戸製鋼(株)のDr.Chefを用いて100-700Mpaの高圧処理を施した。熱水抽出して得られるエキスのヌクレオチドは、生および100Mpaでは大部分がIMPであったが300Mpa以上では1/3〜1/2がAMPであった。また、筋肉をスライスした場合とミンチ,した場合ではミンチした場合のほうがAMPの生成量が多かった。生および100Mpaの抽出液は、うま味のあるおいしい味であったが、300Mpaではうまみはやや減少したが甘味は増加した。ヌクレオチドの総量は500および700Paでは増加しているにもかかわらず、500Mpa以上は不味であった。エキス中の高分子成分のSDS-PAGEでは、100Mpa処理で39Kに新たな成分の生成が見られ、この成分を分取して呈味効果を調べたところ、複雑さ、持続性などの増強効果が認められた。 クルマエビ:ヌクレオチドの変化はマダイの場合とはまったく逆になり、生ではAMPが大部分であったが、50,100Mpaと序々にIMPが増加し200Mpaではほぼ同量となった。また、味も変化し、200Mpaでは生に比べ強い甘味とうま味が感じられた。生および200MpaエキスをPoros HQ(HPLC)により分離し、SDS-PAGEを行ったところ両者には差が認められなかった。200Mpaエキス中の成分から21,34,および39K成分を精製し、エキスに加えたところそれぞれ、甘味と濃厚感、甘味とこくおよび甘味とこくの増強作用が認められた。その他、キンメダイおよびスズキなどの白身魚、ブリ、ヒラマサ、マサバ、マアジなどの赤身魚およびトコブシについて100および300Mpa処理し味を比較したところ、いずれにおいても高圧処理した場合のほうが,主に甘味が増加し味の向上がみられた。
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