研究概要 |
平成9年度は,熱変成した卵アルブミンを主な原料に用いた精製飼料を作製し,硫酸亜鉛メチオニンの亜鉛剤としての有効性を硫酸亜鉛と比較した。ニジマス稚魚に試験飼料を12週間給餌した結果,硫酸亜鉛を添加した区と飼育成績が得られた。また,魚体の無機質組成も硫酸亜鉛メチオニンを添加した区において,硫酸亜鉛を添加した区と差異はみとめられなかった。このことより、精製飼料においては硫酸亜鉛メチオニンは硫酸亜鉛と同等の有効性があるものと考えられた。 そこで、平成10年度は亜鉛の利用阻害物質である,第三リン酸カルシウムとフィチンを含む原料をもちいた実用タイプの飼料を作製し検討を行った。すなわち,魚紛,大豆油粕およびコーングルテンミールを主な原料に用いた飼料を作製し,硫酸亜鉛メチオニンおよび大豆由来のアミノ酸キレート亜鉛を添加し,硫酸亜鉛と比較した。その結果,精製飼料と同様に飼育成績には影響が認められなかった。しかしながら,血液中アルカリフォスファターゼ活性および亜鉛の吸収率がアミノ酸キレート亜鉛を添加した区において有意に高くなった。このことより,アミノ酸キレート亜鉛は硫酸亜鉛よりも,利用性が高いのではないかと推察された。 同様に平成11年度は実用タイプの飼料にアミノ酸キレートマンガンを添加した飼料を作製し,検討した。その結果,アミノ酸キレートマンガンを添加した区では,硫酸マンガンを添加した区よりも成長および魚体のマンガン含量が有意に高くなった。このことより,アミノ酸キレートマンガンの利用性は硫酸マンガンよりも高いものと推察された。 以上のことより、アミノ酸キレート微量元素の利用性は,従前より用いられている無機微量元素に比較し利用性が高いものと推察された。
|