研究概要 |
本研究は遠赤外線椎茸乾燥機の開発に関するものである。得られた研究結果の概要を列挙する。 1)2.5〜25μm程度の波長域に典型的な特徴をもつセラミックおよび石英ガラス等ヒータを組み込んだ汎用型乾燥実験装置を試作した。 2)この装置を用いて、遠赤外線を照射し、遠赤外線ヒータの表面温度,供給電力密度,ヒータの放射エネルギ分布,試料の放射エネルギの反射,吸収特性などの光学的物性値等との関係から、赤外線放射特性を把握するとともに,遠赤外線加熱のもつ基本的な加熱特性を明らかにした。 3)その結果、放射エネルギの大きなヒータによる乾燥速度が最も大きかった。また供給電力が大きい場合は近赤外放射体による乾燥が遠赤外線放射体より速く、供給電力が小さい場合は遠赤外放射体による乾燥のほうが速いことがわかった。 4)また、椎茸表面近傍の温度変化及ぴ媒体の熱物性(密度、比熱、熱伝導度)を実測することによって、遠赤外線エネルギの浸透距離を推定することが出来た。また水の吸収係数の値は2.5μm以上の長波長側では大きく、短波長側では小さくなるので、長波長側の赤外線エネルギは椎茸表面でほとんど吸収されてしまう。したがって短波長側赤外線エネルギが椎茸内部の温度上昇に影響を与えるなどを明らかにした。 5)各種の条件で乾燥した椎茸について、品質の良否を調査した。干し椎茸を調理するには水に浸漬して復水させる、いわゆる水もどしが利用上重要な意味を持つと考え、椎茸の吸水速度、褐変化、5'-GMPの消長等に及ぼす影響を検討した。
|