研究概要 |
本研究は製品の高品質化と低コスト化を目指し,高性能化のための処理温度・時間との関連でガス濃度の精度を高めることである。すなわち,ガス濃度と温度による処理時間研究並びに物性上の問題を明らかにした後,精度の高い実験用の脱渋装置を完成せしめる。 (1)脱渋特性の検討-収穫果の脱渋処理時間は,品質・果実の大小・熟度差のほかガス濃度と温度により異なる。品種間差などの材料条件はほぼ明らかにされているので,ガス濃度および処理温度について実験したが,40℃を限界に温度の高いほど,ガス濃度の高いほど脱渋所用時間は指数関数的に減少する。 (2)品質変化の検討-温度35℃,95%ガス濃度処理法は,既往施設の25℃,90%処理方法より1/6以下に時間短縮される。一方10℃の温度上昇は呼吸量が約2倍に増加するが,積算呼吸量は所要時間の低下により約1/2にとどまる(加温時間を含む)。従って脱渋後の柿の軟化現象は認められなかった。 (3)ガス処理前後の柿色の変化-柿の品質評価は色彩によって判定されるが,収穫時緑色を帯びた早期収穫柿は温度処理により適度の熟し柿色に変化するので,加温処理法は収穫期間の拡大に効果がある。 (4)実験機の設計-3年間の試験と既往の資料から技術的内容と問題点がほぼ明らかにすることができたので,0.8t程度のコンテナによる加温と呼吸方式のガス置換封入設備を設計した。ガス漏れの防止と消費ガス量節減法および装置内の温度・ガス濃度の均一化に効果がある。
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