研究概要 |
平成9年度〜平成10年度に実施した課題についてのまとめは次のようである。 北海道における高品質サイレージを調製するための技術体系をつくることを目的に一連の実験を行った。すなわち,北海道の主要品種であるチモシー,オーチャードグラスおよびアルファルファを基本草種に生育ステージ,刈り取り回次および予乾程度(水分含量)が異なった場合,それぞれに対応できる添加物の種類を調べるとともに,添加サイレージの微生物相,好気的安定性および消化性を調べサイレージ貯蔵技術を体系付けた。ギ酸,乳酸菌製剤および乳酸菌製剤と酵素剤の混合物のサイレージ発酵品質に対する改善効果は,草種,生育ステージ,刈り取り回次および予乾程度により異なり,それぞれの添加物が適合する条件が明らかになった。これらの研究成果により,材料草の草種や刈り取り回次などの調製条件に適合した添加物を使用することが可能となり,失敗の極めて少ないサイレージ作りに貢献できるものと期待される。一方,発酵品質を改善する効果が高い添加物であっても,材料草の水分含量によってはサイロ開封後の好気的安定性が不十分である場合があり,サイロ開封後のサイレージ管理に留意する必要がある。添加物の利用により発酵品質が改善されたサイレージにおいて,in vitro乾物消化率が向上する場合と向上しない場合があった。また,ギ酸や乳酸菌製剤などの添加物を利用したサイレージに分布する乳酸菌種は,明らかに異なり,乳酸菌製剤を添加したサイレージの発酵品質が改善された場合には,添加菌種が優勢であった。
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