研究課題/領域番号 |
09660296
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用動物科学
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
志賀 瓏郎 岩手大学, 農学部, 教授 (20003783)
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研究分担者 |
岡田 啓司 岩手大学, 農学部, 助手 (60233326)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 乳牛 / 食塩 / 風味異常乳 / Naポンプ / 塩味 / Na / K比 / Na-K・ATPase / 血漿ANP濃度 / 乳腺細胞 / ウワバイン / Na-K-ATPase |
研究概要 |
岩手県下で認められた、乳牛の風味異常乳の原因究明とその発生機序について検討した。(1)醤油粕等の食塩を多く含む配合飼料と塩分の添加給与により食塩給与量が標準の上限(100g/日)を越えて過剰給与(160〜170g/日)されていた。また、牛乳の風味異常は塩味を主体とし、乳汁中のNaとCl濃度が著しく高く、K濃度が著しく低かったこから、食塩多給に起因すると断定した(第1章)。(2)岩手県下の飼養条件の異なる各種牧場の牛乳のNa、Cl、K濃度を調べたところ、NaとKの間には有意の負の相関が、Na+KとClの間には有意の正の相関があり、牛乳のNa、K、Cl濃度は飼養条件により著変すること明らかとなった(第2章)。(3)正常乳と異常乳の比較では、乳汁中のNaCl濃度とNaとKの濃度比(Na/K比)が関係し、風味異常乳はNa/K比が高く(6以上)、Na/K比も風味に関係することが示唆された(実験1)。生理的範囲でNa/K比を0.2〜5.0に調整した人工乳を用い、パネラーによる風味検査を行ない、Na^+が10mM〜50mMの範囲内で10mM上昇する毎に塩味が強まる一方、甘味を失う事が明らかとなった(第3章)。(4)乳牛への食塩の過剰給与がNa^+調節機構に及ぼす影響を調べるため、食塩200g/頭/日を16日間給与したが、泌乳量は変化せず、飲水量は減少傾向を示し、血清Na濃度はむしろ低下した。血漿ANP濃度は対照に比べて16日目に5頭中2頭ではほとんど変化なく、3頭では60%以下に低下し、Na^+はそれほど体内に吸収されなかったが、乳汁中NaとCI濃度の上昇、K濃度の低下、尿中Na濃度の上昇とK濃度の低下が認められ、程度は異なったが、上記の風味異常乳と同様な変化を認めた(第4章)。(5)乳牛にNaポンプ(Na-K・ATPase)の遮断剤(ウワバイン)を静注してNaポンプ(Na-K・ATPase)と風味異常の関係を調べたが、乳汁中のNa濃度の変化は小さかったものの、K濃度が著変し、Na/K比の著しい上昇と風味異常が認めら、風味異常にNaポンプの抑制が関係していることが示唆された(第5章)。
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