研究概要 |
平成9年度に牛肺から可溶性グアニレートサイクラーゼの大量精製を試みた。その結果、従来の報告にあったBlue SepharoseやHydroxyapatiteカラムコロマトグラフィーでは吸着されなかったり、溶出出来なかったりした。その為、Blue Sepharoseの使用を断念し、Hydroxyapatiteは市販品を種々試し、Gigapiteを使用し、GTP-Sepharoseは自作した。その結果、牛肺4kgから約3-10mgの可溶性グアニレートサイクラーゼを精製できるようになった。此の過程で、可溶性グアニレートサイクラーゼがGTP結合タンパク質の一種であること、更に多くのGTP-結合タンパク質が細菌毒素であるコレラ、百日咳、ボツリヌス毒素等によりmono-ADP-ribosyl化を受けることから、この可能性を検討し、各種細菌毒素により本酵素のsmall-subunitに選択的にmono-ADP-ribosyl化を受け、酵素活性を通常の約10倍にすることを見いだし、これらをJ.Biochem.122,(1997)p.531に共著論文として発表した。そして、大量に精製した牛肺の可溶性グアニレートサイクラーゼが一酸化窒素とsmall-subunitのHis-105と結合し、著しく酵素活性を100倍以上にあげることから、一酸化窒素の本酵素への結合タンパク質酵素の立体構造に著しい変化を与えることをラマン分光学的に明らかにした(Biochemistyr,36,(1997)p10155)。これらの精製酵素を抗原として、モノクローナル抗体を作製した結果、small-subunitを認識する抗体とlarge,small-subunitの両方を認識するモノクロナール抗体(mAb3221)を得た。Mab3321の特徴を調べたところ、本抗体は可溶性グアニレートサイクラーゼの一酸化窒素による立体構造の変化を認識できる抗体であり、現在話題になっている一酸化窒素の検出に使用可能であることがあきらかになった。(FEBS Lett.,455,(1999)p.291)。
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