研究課題/領域番号 |
09660334
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
間 陽子 理化学研究所, 分子細胞生物学研究室, 先任研究員 (50182994)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1998年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1997年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | MHC / クラスII遺伝子 / ウシ主要組織適合性遺伝子(BoLA) / BoLA-DRB3 / 多型性 / ウシ白血病ウイルス(BLV) / 白血病発症 / 抵抗性対立遺伝子 |
研究概要 |
ウシ白血病ウイルス(BLV)による白血病発症とウシ主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)(BoLA)クラスII遺伝子との相関性について解析した。BLV感染牛のゲノムDNAから、PCRにより増幅したBoLA-DRB3の第2エクソン267塩基対の塩基配列を決定し予測されるアミノ酸配列を比較した。β^<78>残基がTyrのホモ接合を有する個体の頻度は、白血病発症牛に比較して、未発症牛では有意に低かった。一方、ValとTyrのヘテロ接合とValとValのホモ接合を有する個体の頻度は、未発症牛に対して白血病発症牛では低かった。このVaI-β^<78>アリルは全て、β^<71>残基はLys/Argの正荷電のアミノ酸、β^<74>残基はGln/Asnの負あるいは非荷電のアミノ酸であった。以上から、Lys/Arg-β^<71>、Gln/Asn-β^<78>、Val-β^<78>のアミノ酸配列を有するアリルが、BLVによる白血病に対して抵抗性である可能性が示唆された。次に、この仮説をBLVの実験感染動物ヒツジを用いて検証した。ヒツジにBLVを接種険、白血病発症と健康に大別し、OLA-DRB1遺伝子の第2エクソンの塩基配列を決定した。その結果、β^<70-71>残基がArg-Lys(RK)であるアリルが、白血病発症に対して抵抗性である可能性がでてきた。次に、OLA-DRB1の遺伝子型がRKのへテロ接合体(RK/X)、およびX/X(Xは任意のアミノ酸残基)の個体に、BLVエンベロープに特異杓なエピトープのmix peptideを、3回免疫後BLVで攻撃接種し免疫応答とBLVの病態の進行について観察した。BLVによる白血病に対して抵抗性と予測されたRK/Xの遺伝子型を有するヒツジは、BLVに対する高い中和抗体価と著しいウイルス増殖抑制が観察され、最終的に白血病を誘発しなかった。一方、X/Xの遺伝子型を保有する個体では、peptideで免疫後中和抗体の上昇は認められず、BLVの増殖が観察され、2年後にリンパ肉腫に進行した。以上の羊の感染実験からも、BLVによる白血病発症とBoLAクラスII分子との相関性が明らかになった。
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