研究課題/領域番号 |
09660343
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用獣医学
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
小崎 俊司 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (10109895)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1998年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1997年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | ボツリヌス菌 / 神経毒素 / 受容体 / シナプトタグミン / シナプトブレビン / ガングリオシド / ボツリヌス毒素 / 神経毒 |
研究概要 |
ボツリヌス神経毒素はシナプス前部に作用し、神経伝達物質の放出を阻害することで弛緩性の麻痺を引き起こす。毒素が神経細胞内で作用を発現するためには、細胞膜に存在する毒素に対して特異的に結合活性をもつ受容体が存在すること、また毒素分子の受容体認識部位は重鎖C末端領域にあることを明らかにしてきた。本研究ではB型毒素受容体を構成するシナプトタグミンとガングリオシドGT1b/GD1a複合体と毒素の結合機構を詳細に解析した。 シナプス小胞膜に存在するシナプトタグミンは細胞内ではN末端を小胞内にC末端を細胞質領域に向けた形で存在している。伝達物質の放出に伴ってN末端領域は細胞膜外に露出し、これを毒素が認識することが予想される。そこで、N末端、C末端領域を欠失した変異体をマルトース結合蛋白(MBP)との融合蛋白の形で調製し、ガングリオシド存在下でそれぞれの毒素結合能を解析した。その結果、膜貫通ドメインを含むN末端領域(87残基)内に毒素結合部位が存在し、膜貫通ドメインを欠くことによりガングリオシドとシナプトタグミンとの結合が低下することも明らかになった。さらに、ガングリオシドGT1bに対するモノクローナル抗体を調製し、毒素の活性発現に及ぼす影響を調べたところ、この抗体はB型毒素の他に、A型毒素のラット脳シナプトソームへの結合を阻害し、さらに培養上頚神経節に対するA、B型毒素の作用を抑制することがわかった。これらの結果から、ガングリオシドGT1bはボツリヌス神経毒素受容体を構成するための共通成分であり、それと結合する蛋白(たとえばシナプトタグミン)により受容体が認識する毒素の型特異性が決定されると考えられた。 B型乳児ボツリヌス症起因菌の産生する神経毒素を精製し、その性状を詳細に調べた。この毒素の活性は従来のものより約1/10であり、抗原性も部分的に異なっていた。そこで、毒性発現に関わる受容体への結合能、細胞内標的蛋白(シナプトブレビン)の分解活性を調べた結果、受容体への結合活性が低下していることを明らかにした。また神経毒素遺伝子の塩基配列を決定し、これまでに明らかになっているB型神経毒素遺伝子と比較したところ、受容体認識領域である重鎖C末端部分に変異があることがわかった。現在、このC末端領域のリコンビナントを作成し、受容体認識に関わる部位の同定を試みている。
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