研究概要 |
1. ヤツメウナギ網膜細胞に対する単クローン抗体の作製 23種類の単クローン抗体が作製され、光顕の所見から、以下のような部位に陽性反応を示した。 1) 光受容細胞外節: 長光受容細胞(LPC)外節 F1,A1 短光受容細胞(SPC)およびLPC外節 H1 2) SPCおよびLPC内節 C12,H7,F91 3) SPCおよびLPC全領域 G3,G4,F92 4) 外境界膜から内境界膜: 神経層を中心 D2,D5,G3,D1,F11 外果粒層を中心 A3,H6,D12,A8 5) 網膜全領域 A12,F11,E12 6) 脈絡膜 E7 7) 色素上皮層 A1 特に4)のD2抗体については、光顕・電顕免疫組織化学およびウエスタンブロットにより、ミュラー細胞内の細胞骨格糸に存在する76kDの抗原物質を認識していることが分かった。今後は、D2抗体が認識する抗原物質の解析を進めたい。 2. 透過電顕による免疫反応の定量法 H16抗体(ヤツメウナギロドプシンを認識する抗体)の反応をSDS処理フリーズレプリカ免疫標識(SDS-FRL)法より検討したところ、円板膜のP面に多く局在する大型の粒子およびE面に散在する粒子に金コロイド粒子の付着が観察され、H16抗体には、この方法が、免疫電顕法と同様に有効であった。しかし、中間径フィラメントを認識するD2抗体では、シャドーイングにほとんどのコロイド金粒子が重なってしまった。コロイド金粒子の定量化には、詳細な反応条件の検討が必要と考えられる。
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