研究課題/領域番号 |
09670082
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境生理学(含体力医学・栄養生理学)
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
緒方 甫 産業医科大学, 医学部, 教授 (70122843)
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研究分担者 |
田島 文博 産業医科大学, 医学部, 講師 (00227076)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | paraplegia / exercise / natural killer cell / cortisol / catecholamines / 障害者スポーツ / 車いすマラソン / ナチュラルキラー細胞活性 / 免疫機構 / カテコールアミン / コルチゾール / 脊髄損傷 / 対麻痺 |
研究概要 |
障害者スポーツは、脊髄損傷対麻痺者(脊損者)の精神・身体的能力の強化などを助け、身体障害者の社会参加、社会復帰につながる。一方、脊損者では易感染性が指摘され、一般に免疫力低下も危惧されている。免疫系の中で、Natural killer(NK)細胞は免疫能の一つの指標として広く、その活性は運動の影響を受けやすい。そこで、脊損者において車いすスポーツが免疫系に与える影響の一端を調査する目的で、過酷な運動である車いすフルマラソン(フル)と比較的適度な運動であるハーフマラソン(ハーフ)におけるNK細胞活性を測定した。被験者は大分国際車いすマラソン大会フル部門参加の男性脊損者9名とハーフ部門参加の男性脊損7名、コントロールとして競技に参加しない脊損7名とした。フル・ハーフ競技者は競技前日、終了直後、翌目に血液を採取し、コントロール群も同一のプロトコールで採血を施した。フル競技者のNK細胞数(310±130/μl)およびNK細胞活性(42.6±3.0%)は、それぞれ133±61/μlと38.2±3.2%へ競技直後低下し(P<0.05)、翌日には前値に回復した。血中アドレナリン、コルチゾール濃度は競技直後に増加し(P<0.05)、翌日には前値に戻った。一方、ハーフ競技者では、NK細胞数は競技直後も翌日も変化を認めず、NK細胞活性が45.5±7.5%から56.1±5.1%へ上昇(P<0.01)し、翌朝も上昇が保たれた。血中アドレナリン濃度はレース直後上昇し(P<0.05)、翌朝には前値に回復した。コルチゾールは変化しなかった。コントロール群ではいずれの項目も変化を認めなかった。NK細胞活性がフルでは低下しハーフでは上昇する結果は、運動負荷量の違いによるものであると考えられる。機序としては、コルチゾール濃度がフルのみで上昇したため、これがNK細胞活性低下に寄与したと推察される。本研究の結果から、ハーフでは特に格段の配慮は必要ないようであるが、フル競技者はゴール後も少なくとも翌日までは感染に留意することが推奨される。以上のように、本研究は障害者スポーツおける免疫動向を実用的な側面で予想を上回る成果をあげることができた。
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