研究概要 |
ヒトPACE4は,Ca^<2+>イオン依存性セリンプロテアーゼで,サチライシン様活性部位をもつSPC(subtilisin like proprotein convertase)ファミリーの酵素であり,ヒト肝臓由来のHepG2細胞よりクローニングされた.RXK/RR配列のC末を切断する活性を有しており,生理活性を有さない前駆体タンパク質からプロペプチド部分を除去して,生理活性のある成熟体タンパク質やペプチドを生成するプロセシングプロテアーゼである. 本研究では,ヒトPACE4遺伝子のcDNAクローニングにより8種のアイソフォームが存在することをつきとめ,PACE4ゲノムの全長250Kb以上の全構造を決定し,上述の8種のアイソフォームが単一遺伝子の産物であるプレmRNAの選択的RNAスプライシングにより生じることを明らかにした.さらに,5'上流域の転写制御領域の解析から,本遺伝子がbHLH型転写因子により高度に制御を受けており,このことから発生途上において時期,空間特異的なPACE4遺伝子の発現制御を引き起こし,ひいては分化を制御するTGFβファミリーの活性制御につながることを明らかにした. 一方,生体では肝において血清タンパク質の成熟化に関与して,生体の恒常性維持に重要な役割を担っていることを示した.
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