研究概要 |
研究目的 (1)γ-GCS遺伝子発現の調節機構を知る目的で、本遺伝子のプロモーターとエンハンサー領域の塩基配列の解析を行う。次いで、転写因子、特にNF_<-κ>Bの結合値域とAP-1部位についてγ-GCS発現との関連をルシフェラーゼ法で明らかにする。(2)GSH濃度によるγ-GCS重鎖発現の調節を、転写因子がGSHのレドックス状態によって制御されるという観点から検討する。(3)高血糖下でγ-GCS重鎖の発現が低下する理由を、酸化ストレスによる影響と糖化による影響の両面から解明する。 研究成果 (1) について: ヒトP1ゲノムライブラリーよりスクリーニングを行い、γ-GCS重鎖の5′上流領域を含む約4.5kbpの長さをもつ断片を単離し、シーケンスを行った結果、AP-1結合部位や複数個のNF-κB結合部位の存在などγ-GCS重鎖の転写活性調節領域の遺伝子情報を得ることが出来た。 (2) について: ルシフェラーゼ法用のレポーターベクターに、γ-GCS重鎖の5′上流の転写活性調節領域を含むDNA断片を組み込んだ。更にNF-κB結合部位を削除したもの、また人工的に変異を組み込んだレポーターベクターを作成した。これらの結果をもとにヒト グリオブラストーマ細胞株であるT98Gを材料に、活性酸素種を発生させることが知られているIonizing radiationを用いて発現調節の検討を行なった。BSOによりグルタチオン濃度を低下させ照射を行ない、グルタチオン濃度に依存したγ-GCS重鎖の発現量の変動を、ノーザンブロット法、ゲルシフト法、ラン-オン法、ルシフェラーゼ法などで検討し得られた結果を論文に報告した。 (3) について: 高血糖下のγ-GCS重鎮の発現調節については期間内では十分な結果を得られなかった。しかし,結果を得るため現在も検討を行っている。
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