研究課題/領域番号 |
09670197
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
立山 尚 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (80207068)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 胸腺腫 / 胸腺癌 / microscopic thymoma / 重症筋無力症 / 免疫組織化学 |
研究概要 |
1. 胸腺および胸腺上皮性腫瘍、胸腺腫25例(うち異型胸腺腫3例)胸腺癌10例についてbcl-2、Fas抗原の発現、アポトーシスを検索した結果では、bcl-2は胸腺髄質の一部および退縮胸腺の残存上皮細胞に発現し、髄質上皮が退縮胸腺にも残っていることが示唆された。胸線上皮性腫瘍では、アポトーシスは胸腺癌で多くみられ、胸腺腫との間に有意差が認められた。bcl-2蛋白は胸腺癌に強く発現し、異型胸腺腫を含めた胸腺腫には発現しなかった。ただし、紡錘形細胞型胸腺腫には弱く認められた。正常胸腺の髄質にも弱く染まり、この型の胸腺腫の髄質由来が示唆された。Fas抗原は胸腺腫のより進行したものに発現する傾向が認められた。 2. 抗CD5抗体4C7を用いて胸線上皮性腫瘍の検索を行った。胸腺癌は全例陽性となり、陰性となった胸腺腫との鑑別に有用である。異型胸腺腫では、4例中2例が局所的にCD5陽性となった。しかし、肺を含む他の組織の上皮細胞や腺癌にも陽性となり、注意が必要である。ただし、扁平上皮癌は陰性で、縦隔腫瘍でCD5陽性の扁平上皮癌は胸腺癌の可能性が高い。また、染色性の特徴から肺の腺癌と中皮腫の鑑別にも有用と思われた。 3. 術前針生検にて胸腺腫と診断された胸腺癌について免疫組織学的に検討した。いずれも針生検では、軽度の細胞異型を伴う上皮性腫瘍で、異型胸腺腫と診断されたが、術後病理組織標本では明らかな扁平上皮癌であった。抗bcl-2およびMIB-1抗体を用いて、これらの免疫染色を行った。対照として、術前に針生検を行った胸腺腫4例を用いた。抗bcl-2抗体により、胸腺癌では強陽性であったが、胸腺腫はほとんど陰性であった。またMIB-1も胸腺癌で有意に高く、針生検の小さな切片でも、これらの抗体は鑑別に有用であることが示唆された。 4. TUNEL法に関して、組織の前固定時間と固定時間の影響をラットの胸腺と脾臓で調べた。直ちに固定した標本に比べ、前固定時間が2時間を過ぎるとラベルされる陽性細胞数が増加し、24時間を越えると組織抽出DNAの電気泳動でラダーパターンが認められた。固定時間自体の長さはTUNEL法に影響しなかった。 5. 胸線上皮性腫瘍の細胞由来を検索する目的で、髄質細胞に特異的に発現すると考えられているPE-35を用いて検討したところ、Muller-Hermelinkの分類の髄質型、混合型、一部の皮質優位型に陽性となり、皮質型では陰性、異型胸腺腫では6例中4例に局所的に陽性、胸腺癌では全例がPE-35陽性で、上皮に関しては必ずしも明確には分類されないことが分かった。
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