研究課題/領域番号 |
09670209
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人体病理学
|
研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
野島 孝之 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50142732)
|
研究分担者 |
長嶋 和郎 北海道大学, 医学部, 教授 (50010377)
竹上 勉 金沢医科大学, 総合医学研究所, 助教授 (10113490)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | 滑膜肉腫 / 悪性骨軟部腫瘍 / 変異遺伝子 / SYT / SSX / 組織診断 |
研究概要 |
92例の骨軟部腫瘍の病理組織診断および遺伝子発現の解析を行った。 1) 変異遺伝子発現の検討 新鮮凍結材料から全RNAを抽出し、RT-PCR法により腫瘍特異的キメラ転写産物の検出を試みた。その結果、SYT-SSX15例、EWS-Fli1 14例、PAX-FKHR8例、EWS-ATF1 4例の転写産物を得た。SYT-SSXは滑膜肉腫と診断された10例、神経肉腫と診断された1例、組織診断を確定できなかった4例(骨、心外膜、後腹膜発生各1例、小細胞肉腫と診断された1例)で、塩基配列による解析では、11例がSYT-SSX1、4例がSYT-SSX2であった。 2) SSX遺伝子発現の検討 SSX遺伝子はX染色体短腕に局在し、正常では精巣、甲状腺で発現をみるに過ぎない。in situハイブリダイザーションによる検討では、滑膜肉腫細胞は上皮成分、線維成分、低分化な細胞とも陽性を示したが、他の骨軟部腫瘍では陰性であった。ノザンブロット法によるSSX1の発現では、悪性度の高い癌腫で報告があるが、我々の骨軟部腫瘍症例では骨肉腫、MFH、脱分化型軟骨肉腫、悪性血管外皮腫、ラブドイド腫瘍の8例に見られた。一方、SSX1の再構成遺伝子の発現は、滑膜肉腫全例、ユーイング肉腫で11例中6例、横紋筋肉腫は5例中1例に認めた。SSXの再構成遺伝子の意義に関しては、新しい癒合遺伝子の可能性もあるが未だ不明で、今後蛋白レベルでの解析が必要である。 3) 組織診断への応用 RT-PCR法は、組織学的に鑑別が困難で他の補助手段が乏しい症例や組織像が比較的典型的で発生部位が非定型的な症例の確定診断に有効であると思われる。典型的な組織像で、予想されるキメラ転写産物が陰性である場合、既知の切断点以外の存在を考慮する必要があり、また、逆に予期しないキメラ転写産物を得た場合には、最終診断は慎重に行うべきで、組織型と遺伝子異常の多様性を認識する必要がある。
|