研究概要 |
1. FasTfマウス肥満細胞株P815(P815Fas)に及ぼす細胞周期及び薬剤の作用機序検討:Fas遺伝子をP815細胞にTfしFasを強く発現するP815Fas細胞株を樹立した。P815Fas細胞は抗Fas抗体の刺激によりG2期の細胞が減少し、死細胞が増加する。Apo細胞はtime-dependentに増加し、2時間で40%に達する特有の性質を明らかにした。nocodazol(NZ)でP815Fas細胞を処理すると抗Fas抗体によるApoが阻止されることも確認した。しかし、bleomycin(BM)のApoではG2細胞の増加が起こり、NZにより阻止されないことも観察した。 2. P815Fasに及ぼすApo刺激条件の検討:BM(0.3U/ml)、抗Fas(Jo0.1μg/ml)、C2-ceramide(CM)(10μM in 0.5%FCS)、menadione(5μM in 0.5%FCS)、熱ショック(45C 30min)、CCCP(50μM)、stauromycin(0.05μM)、genistein(10μg/ml)でApo誘導可能であることを明らかにした。 3. P815FasのApoに及ぼす諸因子の効果の検討:1)諸Tf細胞による抑制:APO抑制遺伝子bcl-2およびbclxL、p53のdominant negative mutant minip53,ストレス経路で最終的にc-Junの燐酸化に関与するSEKなどをP815Fas細胞にダブルTfし、stable cloneを樹立した。bc1-2およびbclx Lでは抗Fas抗体におけるApoが全く阻止されないが、minip53ではG2細胞の減少は少なくなり、Apoは強く阻止される成績を得た。2)ペプチド(P)による抑制:Z-VADで300μMおよびDEVDで300μM各3時間で抗FasにおけるApoが強く阻止されるが、YVADで600μM、3時間ではごく軽度の阻止に留まることを観察した。3)P分解活性:抗Fas刺激ではDEVDの分解が強く起こるが、YVDAの分解は見られないこと、いっぽう、BMやCMでは分解活性が見られないことを確認した。4)CPP32(apopain)の分解活性:抗Fas刺激とBMおよびCM刺激では前者が強い分解活性を示すが、後者には全く活性が見られない成績を得た。5)C-Junの燐酸化:抗Fas刺激では燐酸化は殆ど見られないが、CMではとBMおよびCMや熱刺激では強い燐酸化が見られることを観察した。6)p53、p21およびbclxの集積:抗Fas抗体刺激ではp53の変化は見られないこと、p21は減少し、bclxは増加すること、いっぽう、BMおよびCMでは抗Fas抗体刺激ではp53およびp21の増加が見られ、bclxには変化が見られないことを観察した。4. イースト系における検討:bcl-2やICEが細胞周期やmutationに関与する可能性を検討するためにS.cervisiaeにbcl-2あるいはICEをTfし、0-12.5Kradのγ線照射によりG1,S,G2/M期の細胞数の割合を形態の違いで計数した。また、γ線照射により生じるmutationの頻度をminimal plate上のコロニーの数で比較した。しかし、有意の成果はえられなかった。 5. その他:P815細胞にIPTG-inducibleな条件下にRb,アンチセンスRbを電気穿孔法でTfし、細胞増殖の違いやDNA障害因子によるAPOの程度を検討中である。
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