研究課題/領域番号 |
09670244
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | (財)佐々木研究所 |
研究代表者 |
高橋 正一 財団法人佐々木研究所, 病理部, 主任研究員 (50132767)
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研究分担者 |
吉田 緑 財団法人佐々木研究所, 病理部, 研究員 (70201861)
安藤 進 財団法人佐々木研究所, 病理部, 研究員 (10240433)
前川 昭彦 財団法人佐々木研究所, 病理部, 部長 (30106182)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 二段階発癌 / 子宮癌 / 17β-エストラダイオール / マウス / E2代謝ステロイド / タモキシフェン / アスコルビン酸 |
研究概要 |
本研究では、N-ehtyl-N´-nitrosoguanidine(ENNG)と17β-エストラダイオール(E2)によるマウス子宮二段階発癌法を確立するとともに、この方法を用いて子宮腺岸発生に対し癌誘発/阻害物質と考えられるタモキシフェン(TAM)およびアスコルビン酸(ASA)の影響について検索した。また、ENNGよりイニシエートされたマウス子宮腺癌誘発に対し強いプロモーション作用を示すE2と、その代謝ステロイドについてプロモーション作用の差異を検討した。TAMの影響を調べた結果、ENNG+E2投与群ではENNG投与後15週でENNG投与群に比べ子宮腺癌が高率に発生し、子宮癌発生に対するE2のプロモーション作用が示されたが、この群にTAMを加えた群ではその発癌率はENNG単独投与群のレベルとなり、E2によるプロモーション作用がTAM投与により阻害される結果となった。また子宮重量はE2投与群で高値を示し、E2投与による影響が観察され、TAMでは有意差はないものの対照群に比し低値傾向がみられた。ヒトにおいてTAMは乳腺腫瘍には抗エストロジェン剤として働くが、子宮癌にはエストロジェニックに作用することが知られている。今回の実験の結果、TAM投与により子宮内膜癌発生が抑制されると共に子宮重量の減少も見られた事より、TAMは子宮に対してエストロジェニックに作用するよりも、抗エストロジェニックに作用している事が示唆された。ASAについて検討した結果、E2とASA投与ではその発癌率はE2投与群に比し有意差は無いものの約1.5倍の高値となり、E2によるプロモーション作用がASA投与により増強される結果となった。ASAは1,2-dimethylhydrazineを用いて誘発したマウス子宮肉腫に対するE2のプロモーション作用を強く抑制することが知られており、今回の結果はマウス子宮の腺癌と肉腫発生におけるE2のプロモーション作用の機序が異なる事が示唆された。またE2の代謝ステロイドについてそのプロモーション作用を調べた結果、子宮腺癌の発生はE1,E2及び17-エピE3投与群で高い発癌率が得られた。またE3、16α-及び16β-ハイドロオキシE1投与群で中程度の発生率が見られたのに対し、2-ハイドロオキシ及びメトキシステロイド投与群では、何れのステロイドもプロモーション作用を示さなかった。以上の結果、エストロジェンで見られるプロモーション作用は、2β-水酸化への代謝系ステロイドには見られず、16α-及び16β-水酸化への代謝系ステロイドでその作用を示す事が判明した。
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