研究課題/領域番号 |
09670272
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
嶋田 淳子 順天堂大学, 医学部, 講師 (20211964)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | トリパノソーマ / アポトーシス / Fas / 感染宿主細胞 / Trypanosoma cruzi / アポトーシス抑制 / HaLa / ホスファチジルエタノールアミン |
研究概要 |
Trypanosoma cruzi(T.cruzi)は中南米でシャーガス病を引き起こす病原体として重要な細胞内寄生原虫であるが、その分子細胞病理と感染動態については明らかにされていない点が多い。宿主細胞と寄生虫の相互作用を分子レベルで解明することを目的として研究を進め、T.cruziは感染宿主細胞においてFasを介するアポトーシス抑制について解析した。HeLaおよびHT1080細胞にT.cruziを感染させ3-4日培養すると、原虫は細胞内で十数個に増殖した。この時点で抗Fas抗体によりアポトーシスを誘導し、感染および非感染細胞における細胞死、核の分断化、細胞膜リン脂質のトランスロケーション、DNAフラグメンテーションについて経時的に調べた。T.cruzi感染HeLa細胞では抗Fas抗体添加3日後にも生存している細胞が認められた。またFas誘導6時間後に細胞の核を蛍光染色し観察したところ、非感染細胞では59.5%がアポトーシスを起こしているのに対し、感染細胞では30.0%と約半分であった。またアネキシンVにより細胞膜ホスファチジルセリン(PS)の局在をFACSにより測定した場合、HTl080細胞では経時的にPSが細胞外膜に表出してくるが、T.cruzi感染HT1080では明らかに抑制がみられた。さらに、Fas誘導24時間後に感染HT1080細胞ではDNAフラグメンテーションは認められず、非感染細胞との間に大きな差がみられた。またcaspage-3活性も感染細胞では抑制されており、この結果から、T.cruzi感染による宿主細胞のアポトーシス抑制はFasを介するシグナル伝達経路の比較的初期過程に起こると予想された。以上の結果から、T.cruzi感染では寄生虫自身が自己の生存・増殖のために何らかのシグナルを放出して、宿主細胞の細胞死を回避させる機構を持つ可能性が示唆された。
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